士業の集客方法と言えば、昔から紹介や相談会・講演会などを通して行われることが多かったのですが、今ではインターネットを使った集客もとても大事なアプローチ方法となります。
特に独立したての方であれば、紹介してくれるような人のつながりや売りとなる実績もあまりない状態かとも思われますので、ホームページ集客をどのように上手く使っていくかが重要です。
今回は、士業の方が知っておくべきホームページを使った集客方法について、メリット・デメリットや主な手法についてご説明します。
士業のホームページ集客の特徴とメリット
早速、士業の方がホームページ集客を行うメリットからご紹介したいと思います。
結論から先に申し上げますと、士業のインターネット集客は手軽に始めやすく、しっかり準備・運用すれば十分な集客効果も発揮できるので、ぜひ取り組んでいただきたい集客方法の第一候補です。
士業がホームページ集客をするメリットには主に以下の内容があります。
ホームページの運営|何のためにやるのか?
士業をインターネットで検索する人が増えているので、ホームページを運営するのは必須といえます。なにかしらのきっかけで士業の名前を知り検索する場合もあるでしょうし、「渋谷区 弁護士」などのキーワード検索でヒットした場合にホームページを訪れることもあります。ホームページを見る人は依頼事がある方がほとんどなので、ホームページではどんな案件を取り扱っているのかと料金表があると丁寧です。また、自己紹介や顔写真を掲載することにより人となりをアピールして相談しやすい雰囲気を作り出すことが大切です。
また、ホームページのデザインも意外と注目されます。どこで何の説明があるかが分かりにくいと最後まで見られずに離脱されてしまう可能性がありますし、デザインセンスも大切ですがカッコ良さに走りすぎると見にくくなってしまうので、その点は意識して作成すると良いでしょう。
さらに、ホームページでは直接対面で相談者と会うような動線作りがマストです。無料相談やセミナー参加などの応募がしやすい流れを作ってください。
インターネットでの顔や名刺代わりになる
ホームページの存在そのものがインターネットでの顔や名刺代わりになります。特に士業の先生への依頼となると、それ相応の費用がかかってきますので、依頼者も慎重になります。
依頼前にはインターネットでその先生や事務所の情報を調べようとする方も多いでしょう。そのような時にホームページが無かったり、いい加減な作りのホームページしかない状態だと「果たしてこの事務所に依頼して良いのだろうか…?」と少し不安になります。
また、対面で相談された方にもホームページを提示することで料金体系や依頼後の流れが分かるなど、パンフレットとしての役割も果たしてくれます。
コストをかけずとも集客効果を高めることが可能
手法や依頼先にも左右されますが、一般的にはテレビやラジオなどのCMよりも費用もかけずになおかつ高い費用対効果を期待することができます。特に個人で開業されているような小規模事務所であればなおさらでしょう。
手軽に始めやすく、しっかり結果を出すことができます(もちろん、マーケティング戦略と一致していればCMやチラシなどの方が効果も大きいこともあります)。
電話やメール相談との相性が良い
例えば何か悩んでいる人がインターネットで検索をして、その悩みを解決してくれる対象が士業の先生だった場合、「その人に悩みを聞いてほしい」と思うでしょう。
想像してみてください。スマホで検索してホームページに訪れて、そこに記載されている電話番号をポチっと押せばもう電話相談ができます。メール相談なら、メールフォームに必要情報を入力すれば相談可能です。
ホームページ集客では、相談までの導線がスムーズなのです。
相談から依頼に繋げるには、相談内容や先生の手腕によりますが、相談が増えることで依頼の機会が増えることは間違いないでしょう。
士業がホームページ集客をするデメリット
反対に士業がホームページ集客をするデメリットには主に以下の内容がありますので、デメリットにどう対処するかを決めた上でホームページ作成や運用を行っていきましょう。
専門知識が必要
士業の先生方は、その分野の知識と資格を有したプロですが、インターネット集客やホームページ作成の知識があるとは言えませんね。『WEBマーケッター』や『SEO会社』などの職業・業者があるように、インターネットを使った集客にもそれなりの知識と経験が必要になります。
ご自身で一から学び始めようとすれば勉強や実践が必要になりますし、専門家に任せようとすれば費用がかかります。
ある程度の費用はかかる
運用方法や規模にもよりますが、ある程度の費用がかかることは想定しておきましょう。目安として、ホームページの作成で数十万円~多ければ100万円以上、毎月の運用で数万~多ければ数十万円はかかります。
全部自分でやろうとすれば年間数万円で抑えることも可能ですが、本業でのお仕事に加えてWEB会社が普段行っているような業務をこなしていく必要があるため、あまり現実的ではありません。また、全部自力でやろうとすると、結果が付いてこない可能性も高くなってしまうでしょう。
定期的な更新が必要
ホームページを一度立ち上げたからといって、その後放置で良いわけではありません。後述する手法にもよりますが、定期的な記事更新や広告設定の分析・変更などを行う必要があります。
慣れない方からすれば、定期的な作業が増えること自体が負担になりますし、業者に依頼すればさらに費用がかかることになります。
士業のホームページ集客の方法
ホームページ集客と言ってもいくつかの手法があります。こちらでは、代表的なホームページ集客の方法をお伝えしますので、まずはどれか1つに絞って始められることをおすすめします。
ブログ
ブログも広告として効果的なツールですが、一口にブログと言ってもさまざまです。どんな案件を扱ったかの紹介やプライベートも少し紹介するというような日記的な要素のブログにするとその人の人となりが分かり親近感が湧くというメリットがあります。
SEO対策
SEOという言葉を聞いたことくらいある方も多いでしょうが、SEOとは『検索エンジン最適化』のことで、GoogleやYahoo!などの検索結果で上位を獲得し、検索結果からのアクセス流入を図る手法です。
ホームページのSEO対策は必須です。士業を探すにあたり、特別贔屓にしている担当がいない場合はインターネットを利用して検索するかと思います。たとえば、渋谷区で司法書士を探したいという場合は「渋谷区 司法書士」とGoogleなどの検索エンジンでキーワード検索をする人が多いです。
このようにインターネット検索をした場合に上位に表示させる方法として、SEO対策が有効です。検索上位に表示されるためには検索結果を満たしたページを作成する必要があり、結果が出てくるには多少の期間を要します(最低でも3ヵ月)。
また、士業の各分野でもSEO対策をきちんとしている事務所やポータルサイトも多くあり、検索されやすい“ビッグワード”は競争率も高くなっています。しかし、検索結果でホームページが上位に表示されるようになれば、特定の検索意図を持った人に強くアプローチでき、方法によってはそのまま相談を獲得することも可能です。
メリット | デメリット |
l 広告費は不要
l 中長期的にアクセスが増えやすい l 得意分野をアピールできる |
l 結果が出るまで期間がかかる
l 情報の追加・更新が必要 l 結果が出ない悪徳業者も多い… |
自身のサイトを上位に表示させるためには、オウンドメディアやブログを作成して検索されそうなキーワードに沿った記事を書きます。記事にはある程度のボリュームが必要ですが、新しく開業したばかりで集客ができていない場合でも検索上位に表示されるようになれば集客が増える可能性が高くなります。
コンテンツSEO
特に士業の方におすすめできる方法が『コンテンツSEO』というものです。コンテンツSEOとは、検索キーワードに応じたコンテンツを作成して、検索上位に上がりやすくする方法です。
例えば、『交通事故 示談』という検索キーワードに対して、示談金の相場や流れなどの検索キーワードから知りたいであろう情報についての解説をするのです。弁護士であれば、その分野の法律のプロですので、コンテンツの中身としても非常に信頼性が高いと評価されます。
また、『交通事故 示談』と検索している人ですから弁護士の見込み顧客である可能性は高いですし、その中で『示談金の相談や代理人は弊所にお任せください!』などと相談窓口を設ければ、相談からの依頼も獲得できるという仕組みです。
ただし、キーワードに応じたコンテンツをコツコツと作成していく必要がありますので、継続させる根気強さが必要です。
リスティング広告
SEOはどうしても結果が出るのに期間がかかりますので、インターネットで広告を出してホームページを露出させることも1つの方法です。インターネット広告にもいくつかの手法がありますので、代表的な方法を簡単にお伝えします。
また、気を付けて欲しいことがそれぞれに広告費がかかりますので、広告費が無駄にならないように広告からのアクセスにきちんと対応したホームページ作成(いわゆるランディングページ)をしておくことが必要です。
ホームページの内容によっては得られる結果も大きく変わってきます(注意点については後述します)。リスティング広告とは、検索エンジンで検索した時に上の方に出てくる広告枠をキーワードごとに課金して露出させる広告の手法です。
SEOと同じく何かしら検索意図を持って検索していますので、士業への依頼や相談に近いキーワードであれば、ホームページアクセスからの相談も増えてくるでしょう。
運用するにあたってキーワードの選定や分析が必要になりますし、競争率が高いキーワードでは単価も高くなっており、簡単には露出できないようになります。
メリット | デメリット |
l 関心が高い人にアプローチできる | l 細かい設定や分析が必要
l キーワードによっては高単価 |
バナー広告
バナー広告とは、特定サイトの広告枠への掲載やランダム表示される広告枠に広告を配信する方法です。その人に興味がある内容などある程度のユーザー属性は絞れますが、幅広い人に対して露出されることになるため、費用の割には問い合わせなどの効果が低くなる傾向にあります。
一方、事務所を認知させるという意味では効果も期待できます。
メリット | デメリット |
l 幅広くアプローチできる
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l 費用が高めになる
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リターゲティング広告
例えば、Amazonで商品を買った後に似たような商品の広告をインターネット上でよく見かけることがありませんか?あれがリターゲティング広告で、一度訪れたサイトの広告が一定期広告として間表示される手法です。
ターゲットは一度ホームページを訪れた方に限られますので、事務所への依頼やその分野での悩みなど何かしら興味を持っている人の可能性が高いです。押しの一手や思い起こしをさせるための広告とも言えますね。
ただ、ホームページを見ないことには始まらない広告ですので、まずは上記の方法でアクセス数を増やすことが先決でしょう。
メリット | デメリット |
l 認知度向上や依頼のきっかけになる | l すでに悩みが解決している場合がある
l まずはホームページにアクセスが必要 |
ホームページ以外のインターネットを使った士業の集客方法
ここまではホームページを使った集客方法をお伝えしましたが、ホームページを使わずとも他にもインターネットを利用した集客方法はたくさんあります。
ホームページを作る費用や時間がない場合でも始めやすい方法もありますし、ホームページと組み合わせればさらに効果UPも期待できます。ぜひホームページ集客と一緒に検討されてみてください。
顧客からの紹介
顧客からの紹介は集客にお金がかからずコスパが良い集客といえます。そのため、相談者の依頼に精一杯応えることに注力することも大切です。顧客からの信頼を得られることにより、口コミで顧客のネットワークがどんどん広がるでしょう。
ポータルサイトへの掲載
弁護士であれば『弁護士ドットコム』があるように、士業に応じたポータルサイトも多く登場しています。ポータルサイトとは、様々な流入によって莫大なアクセスを持つサイトで、飲食店探しなら『ぐるなび』、美容室なら『ホットペッパービューティー』などをイメージしていただければ分かるかと思います。
枠によっては無料掲載も可能ですが、通常は毎月の数万円~十万円程度の掲載料が発生します。その業界で特化しているポータルサイトに事務所情報を掲載できれば、安定したアクセス増も期待できます。
メリット | デメリット |
l 掲載だけでアクセスが期待できる
l 手間がさほどかからない |
l 毎月の広告費がかかる
l 相談は増えるが依頼に繋がるとは限らない l たいてい担当者が付いている |
SNSの活用
現在、様々なSNSがありますが、SNSをうまく活用することで集客に繋げることが可能です。
特に最新情報やホットなニュースの入手に使われることも多く、検索エンジンの代わりにSNSで情報収集をする方も少なくありません。また、SNS内でも広告を出稿することができ、アクセス数を増やすこともできます。
主なSNS | 特徴 |
l 個人・法人・団体が利用している | |
l 短文でのやりとり
l 情報共有やイベント告知がメイン |
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LINE | l LINE@が法人向けにリリース |
l 写真と動画がメイン
l アパレル・飲食・美容院との相性が良い |
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Linkedln | l ビジネス向けSNS |
Google+ | l Google検索に連動している |
まず士業におすすめは、実名制で信頼性が高いFacebookの利用でしょう。個人で登録されている方も多いので、毎日タイムラインに目を通している方も多いでしょう(ただし、若い年代はInstagramやLINEに移行している印象が強い)。
最新情報の発信はTwitterが向いており、ご自身が得意な分野での出来事が起きた場合には、専門家としての立場から情報を提供することで人の目に多くつきやすくなります。
メリット | デメリット |
l 個人でも運用しやすい
l SNSを使ってそのままやり取りも可能 |
l 毎日~定期的な更新が必要
l 古い情報は見られにくくなる |
動画の活用
最近ではYouTubeでの動画を活用されている士業の先生も多くおられます。簡単に言えば、士業の方が関わる分野での話題をインターネットの動画上で行うプチ講演会のようなものです。
集客というよりも情報発信の意味合いが強いですが、ご自身のブランディングや認知度UPに繋げることは大いに期待できるでしょう。
メリット | デメリット |
l 士業分野はまだ競合が少ない
l 近年での発展が著しい |
l 動画制作の手間
l 定期的な公開が必要 l 事務所への集客は向かない |
メルマガやニュースレター
定期的に事務所の最新情報やニュースに対する情報などを配信して顧客に関心を持ってもらう手法です。メルマガを読んでくれている人は信頼度も高くなっているので、依頼までが非常にスムーズになってきます。
一方で、わざわざメルマガを使わずにそのまま相談してもらった方が早いのでは?という状況もあります。どちらが効果的かは、検証と実行と分析を繰り返して分かる部分も多いです。
インターネット集客全般に言えますが、PCDAサイクルを回して最適な方法を見つけていくことが大事になります。
メリット | デメリット |
l 親密度を高めることができる | l メルマガ登録をしてもらう必要がある |
テレビ・ラジオCM
最近はテレビを見たりラジオを聞いたりする人が少なくなっていると言われますが、それでもテレビ・ラジオCMは有効です。テレビ広告やラジオCMを利用することにより、一気に知名度を広げられるというメリットがあります。ただし、広告費用は高いのでその辺りの採算は考えた方が良いでしょう。
電車の中吊り広告
電車の中吊り広告も意外と目につく広告です。毎日のように同じ広告を見ているとその存在を認知して、何か相談したい案件ができた場合に頭に思いつく存在になるでしょう。出入り口に近い場所など、なるべく多くの人の目につきやすい位置に広告するようにすると効果的です。
セミナー・講演・執筆
セミナーや講演も集客に効果的です。たとえば、無料のセミナーを開催してもっと相談したいという人と契約を結ぶという方法はよくあります。また、新聞や雑誌のコラムやお悩み相談などに寄稿するのも良い方法です。認知度が高いメディアの場合は一気に知名度を上げることができるでしょう。
最近では webメディアに寄稿する需要も増えているので、Yahoo!ニュースやSmartNewsなどの露出度の高いメディアに掲載されるようなメディアで記事を掲載してもらうのも一つです。
士業のホームページ集客で気を付けるポイント
こちらでは、士業の方のホームページ集客で気を付けるポイントについてまとめました。上記でお伝えしたホームページ以外のインターネット集客にも通ずるものがありますので、実行される場合には、ぜひ心がけてみてください。
分かりやすく簡潔に
インターネットでの情報発信では、分かりやすく簡潔に伝えることをより一層心掛けてみてください。インターネット上では様々な情報を無料で見ることができますので、『あれこれ書いてある』『小難しい』などと思われてしまうと、離脱される原因となります。
士業の場合、専門知識が必要で難しい用語もたくさん出てきますが、できる限り一般の方にも分かりやすい説明をしていた方が親切ですね。
行動喚起をする
また、インターネットでは次に起こす行動を呼びかけることも大事です。行動喚起しなければ、せっかくホームページに訪れた方が何もせずに帰ってしまう可能性が高くなります。
例えば、電話などでの相談を多く受けたいのであれば、ただ単に電話番号や問い合わせフォームを載せておくだけでなく、「お困りでしたら相談してください。初回相談無料です」などと、言葉があるだけで相談数にも影響します。
スマホでの見やすさを確認する
案外見落としがちな項目が、スマートフォンでの見やすさです。分野や年代にもよりますが、今や半数以上の方がスマホで情報収集をしていると言えます。
すなわち、スマホに対応していないサイトだと半数以上の機会損失をしていることになります。
現在では、ツールにもスマホに対応したデザインが入っているものがほとんどなのですが、文字や画像のサイズなどでズレが生じており、もったいないことになっているホームページもいくつもあります。
士業の集客で気をつけること
最後に士業の集客で気をつけることを紹介します。
弁護士は広告に規制がある
弁護士はもともと2000年まで広告に規制がありました。現在では規制が緩和して広告もできるようになりましたが弁護士の品位を落とさないような方法が求められています。また、得意分野などを明確に記載したいと思う弁護士も多いかと思いますが、「専門」という言葉を使うことは良いとされていません。
「一番」「最高」などの強調する言葉についても注意が必要です。他にもさまざまなルールがあるので弁護士が広告を作る場合には必ず「業務広告に関する指針」を確認すべきですし、作成を委託する場合にも業者に確認してもらうようにしましょう。
参考:日本弁護士連合会|業務広告に関する指針
専門用語を使いすぎず優しく書く
事業の仕事は専門用語が多く、一般の人から見たらとっつきにくいイメージがあります。せっかくホームページに訪問してもらえても、記載されている内容が難しく「相談しにくい」という印象を与えてしまえば相談まで辿りつきません。専門用語を使いすぎず誰にでもわかりやすい文章を心がけたり、親しみやすい雰囲気にしたりすることが大切です。
まとめ
士業の先生でもホームページを使った集客の必要性は高くなってきています。ご自身でホームページ作成をすることもできますが、作業の手間もかかりますし、集客できないホームページになってしまえばあまり意味がありません。
作成を任せて結果も期待するのであれば、ホームページ制作業者に依頼することがおすすめです。業者に依頼する場合、数十万円の費用はかかりますが、しっかり結果も付いてくるのであれば十分に元を取れるでしょう。
業者に依頼する場合には業者選びも慎重に行っていきましょう。